普段から私はダンス作品を作る活動をしていますが、今よりももっと自由に滑稽に、かつ創造的に作品をたくさん生み出したいといつも考えています。日本ではわたし含め、アーティストが主体となってそのような環境を作ることはなかなか難しいです。ほとんどの人が同じ想いを抱いているのではないでしょうか。

その霧がかった靄(もや)を払いのけ、一歩を思い切って強く踏み出してみました。

このダンスプロジェクトは、「えっなにこれ？笑」と思えるようなダンス作品を期待しています。バカバカしくて面白くてワクワクしてたまらない、そんないつしかのヘンテコなダンスの時代と渦をもう一度、わたしと一緒に作りませんか？

「音響ない！照明ない！？むしろそれが最高の演出！！」

劇場空間とは作家にとって、夢を描くキャンバスのようなものです。しかし、絵の具の色が「白色」しかなければ、果たして自分の夢をちゃんと描くことが可能でしょうか。

音響なし、照明なし。

あえて条件を究極に絞ることによって、作家が熟考し、熱くれるような挑戦の場を提供したいと思います。 不便さと不自由さを「自由」と捉えることができる、そんな逆境に強い作家は、この窮屈な社会に必要です。そしてこの時代に新たなムーブメントを起こす素質があると思っています。

本企画はそんな素晴らしい作家が誕生するため、もしくはステップアップするための場を用意するために生まれました。

「限りのある空間に、限りのない地平線を描く作品」そんなダンス、アートを期待しています。

ディレクター　田村興一郎